人生を楽しむ男のセミリタイヤ・ライフ

愛する妻と娘のため、脱サラ・セミリタイヤした男の家族との日常・グルメ・ファッション・ライフスタイルについて、つづっていきます

【違和感】マスクや消毒液の転売はそんなにダメなのか?市場経済の原則から考察してみた

f:id:midasminds:20200426101350j:plain1. マスクの転売が規制されていますが...

 

先日から、「マスク転売」が規制の対象となりました。

 

「①不特定の相手方に対して販売をする者からマスクを購入し、②購入価格(仕入価格)を超える価格で、

 

③不特定又は多数の者に対して転売する行為が禁止」

 

 

されています。

 

また、罰則規定も割と厳しく、

 

「違反行為を行った場合、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金、又はその双方が科されます。


また、法人の代表者や従業員等が業務として違反行為を行った場合は、行為者を罰する
ことに加え、法人等に対しても、上記の罰金刑が科されます。」

 

 

(出所)マスク転売規制についてのQ&A

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/tenbaikisei_qa.pdf

 

 

この情報を聞いて、

 

「よろしくない転売屋が規制されてよかった」

 

「マスクが適正価格で手に入るぞ」

 

と思った方も多いかも知れません。

 

 

しかし、これは本当にそうなのでしょうか?

 

経済学部出身・米国公認会計士の私が「市場経済(マーケットエコノミー)」の観点から

感じる【違和感】について解説したいと思います。

 

(注:市場経済とは、需要が大きく、供給が少ないものの価格が上がる、という私たちが日々経験している仕組みのことです。

 

きわめてざっくりいうと、”市場-いちば”で、どんなものの値段が高くなり、どんなものの値段が低くなるのか、ということです。)

 

2. 市場経済の観点では、転売はどうなのか?

2-1. そもそも「転売」の意味とは?

 転売のビジネスとは、要は、

 

「安い値段で仕入れて、高く売る」という、

 

きわめて単純な話です。

 

そうすると、 商品を仕入れて販売して利益を出している

 

通常の卸売や小売の業者も、広い意味では「転売」を営んでいる

 

ということになります。

 

2-2. 「転売」の物流機能

上記の広い意味での「転売」は、

 

「必要な人に、必要なモノが届くようにする」

 

という大切な機能を担っています。

 

店にしろ、ネットにしろ、

 

必要な人が商品をさがして、

 

そして、手に入れられるようにしていますよね。

 

また、その重要な機能を担うからこその、

 

対価としての販売利益である、とも言えます

 

 

2-3. 「転売」の価格調整機能

さらに、

 

「適正価格で売っていないから、転売事業者は悪だ!」

 

とみんなすぐに思うようなのですが、

 

これは本当なのでしょうか??

 

 

市場経済のルールに照らすと、

 

値段がいつもより高かろうが、なんだろうが、

 

買う人がいる限り、それは適正価格以外の何物でもありえません。

 

 

また、それによって得る利益ももちろん適正なものです。

 

 

そして、ある意味、適正価格に近づけようとしているマスク転売を

 

締め出したことでなにが起きるでしょうか?

 

ーそう、より高く買ってくれる場所に商品が流れてしまいます。

 

結果として、 日本では、高い価格ですらマスクが買いづらくなってしまいました。

 

 

必要な人に商品を届ける大切な「物流機能」が

 

損なわれてしまった、ということになるでしょう。

 

2-4. 本来問題なのは「転売」ではなく「価格設定」

では、「転売」そのものは特に否定されないとしたら、

 

いったい何が問題なのでしょうか?

 

 

これは、究極的には「価格設定が間違っている」だけの問題です。

 

需要が高まっているのに、同じ価格で売っている事業者がいるために、

 

その価格の歪みを修正しようとしている人たちが出てしまう(!)

 

というのが本質です。

 

 

例えば、有名なアーティストのチケットを転売しても利益が出ない価格設定に

 

してしまえば、誰一人として転売することはなくなります。

 

これは、オリンピックのチケットなどでも同じです。

 

(転売をそんなに防止したいと言うなら、これが一番ですし、

 

イベント開催者の利益も”もっとも適切”になるでしょう。)

 

3. まとめ

 

こう考えてみると、国がマスク転売を禁じたことは、

 

自ら市場経済の自然なモノの流れを止めたことで、

 

かえってマスクを手に入れにくくしたことでしょう。

 

 

マスクを欲しい人が必ず手に入るようにしたい、というならば、

 

福井県のようなマスクの購入権利を国民に付与する、

 

などが正着だったのでしょう。

 

(マスクを買うお金が本当にない人は別として、

 

アベノマスクのように無料配布すると、

 

もう持っていて要らない人や欲しがっていない人も届くので、

 

かなり効率が悪いですね。)

 

 

国の施策や、メディアの報道をそのまま受け入れてしまうと、

 

マスク転売は”暴利をむさぼる完全なる悪”のようなのですが、

 

もともとは市場の歪みを正していくれているだけですので、

 

その点は冷静に考えたいものです。

 

 

(再度注:筆者はマスクやその他の物品を転売したことはありません)

 

 

では!!

 

 

 

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